俺が初めてヤマベを釣った場所
俺が初めてヤマベ(ヤマメのことを北海道ではこう呼ぶ)を釣った場所。
それは北海道の新冠ダム・・・
新冠ダムは、ノーザンレイクという名前の由来にもなっていて、俺の道場みたいな場所だ。

あれは忘れもしない中学1年生の夏。
親戚のおじさんの車に乗せてもらい、解禁日の前日夜に新冠ダムに乗り込む。
もちろん車中泊。
当時おじさんは、町から依頼されて入漁料(当時は500円)の徴収の
仕事をしていたので、解禁日のダムに行くことができたのだ。
ダムのゲート入口に駐車をし、訪れる釣人から料金を徴収するんだけど、
来るわ、来るわ、それはたくさんの釣人がやって来た。
聞くと、明日の解禁日に札幌の釣りクラブの大会があるらしい。
くわぁー、すげぇーなぁー、新冠ダムすげぇーなぁーと、
俺はもうテンションMAX
興奮してなかなか眠れない。訪れる釣人の顔もみな、
明日の釣りにワクワクしているように見えた。
いよいよ迎えた解禁日当日。
夜が明けるか明けないかのうちに車外に出て、タックルを準備する。
ダム堤体に並んでいる外灯の下には、クワガタがたくさん落ちていた。

初夏(7月1日が解禁だった)とはいえ、北海道・日高地方の山奥の空気は
シーンと静まり、シャキッと冷えていて、とても心地よくて気が引き締まる思いがした。
その時のタックルは、ロッドはダイワ・ニューサンスピンL.6フィート、
リールはダイワ・スピンスター500、ラインはデュポン・ニューストレーン6lb(エルビー) だった。
初めて買ってもらった俺の自慢のタックルで、
みんなに「どうだ、俺のタックルを見てくれ!!」
とばかりに、誇らしげに釣りの準備をしていたんだ。
そしてルアーは、アブ・トビー7g、アブ・リフレックスの7gと4g、
ダイワ・クルセーダー8g
たったこれだけのルアーでも、俺にとっては頼れる実弾。
中学生が、この実弾を揃えるのにどれだけ勇気がいったことか
当時からアブのルアーは、1個500円はした。
釣り針1つに500円を投じるのには、夢と勇気が必要だった
スナップの先に必殺トビーを付けて、いざ出陣

駐車している車から300m程歩いて、釣り場を探す。
しかし・・・
ない!、釣り場がない!
そう、ここ新冠ダムは、人がロッドを伸び伸びと振れる場所がとても少ないのだ。
考えてみれば、当たり前だ。
渓谷をせき止めて作ったダムなのだから、当然、切り立った崖のような場所が多い。

それでも何とかゆるやかそうで、釣座を確保できそうな崖を見つけて降りて行った。
「よしっ、ここなら大丈夫だ!この程度の崖なら帰りも楽勝だな!」
下に着いた時に、そう思った。
さて、いよいよ第一投、トビーはストレーンを引き連れて、孤を描いて飛んでいった。
着水と同時にルアーが水中でギラッと光り、ロッドに振動が伝った。
「あっ、鱒だ!!」
初めての経験だった。着水と同時に鱒がルアーに食いつくなんて。
それからも何回もアタリと追いがあったが、1匹も釣ることができない。
(当時の新冠ダムの魚影はハンパなく濃かった)
釣りたい一心で、本で得た少ない知識を引っ張り出し、ルアーを替え、タナを替えた。
どんな時も反応はあったが、なぜか釣れない。
これは明らかに俺の腕が悪いのだ。
そこで考えた。
「そうだ!こんなにたくさんの魚がルアーを追ってきたのだから、元の場所に魚は戻らず、
すぐ近くに溜まっているかもしれない」
そして
「今までは、7g、8gばかりだったから、小さい仕掛けにしたら一発で食って来るかも?」
と閃いた。
スナップに結んだのは、アブ・リフレックス4gのオレンジに、シルバーブレード。
キャストして、充分に沈めて巻き始める。
そろそろ近くに来たかな?と思った時に
「ガクン!!」と、とてもハッキリした反応があった!
「やった!キタ!!」
ドキドキしながら、逃さぬように慎重に引き寄せ、陸に上げる。
「ヤッタ!!ヤッタ!!」
とても大きなヤマベだ。
体長30㎝、初めて見る大きさのヤマベで、リフレックスのトリプルフックを
ガッチリとくわえていた。
興奮しながら再びキャストをすると、日高の大自然はまたも奇跡を起こしてくれた。
「カン!」「おっ!?」「キター!!」
ゆっくりと慎重に引き寄せて、魚をズリ上げた。
銀ピカの美しいパーマークを見ながら、1人でガッツポーズ

そして他人に聞かれては恥ずかしいので、小さな声で何度も
「ヤッタ、ヤッタ」を連呼していた。
もう頭の中は、学校に行ったら友達に自慢することばかり考えていた。
すっかり一人前の釣師気分の俺は、その後もキャストをしまくったが、魚も馬鹿ではない。
やはりスレてきたのである。
やがて追いもなくなり、経験不足で引き出しの少ない俺は、
アッサリと白旗を上げざるを得なかった。
それにそろそろ、おじさんも徴収した料金を役場に届ける時間だ。
夜までやっていたい気持ちもあったが、帰ることにした。
「よし!ヤマベは持って帰って家で食べよう!」
母親にも自慢したかった。
柳の枝をエラから通してヤマベをかけると、険しい崖も何のその。
足取りも軽く、登って行った。
ヤマベを下げておじさんの車に戻る途中、
「兄ちゃん、どうだった?」
と、大会に参加していた釣人に声をかけられた。
俺は大きな声で
「はい!デッカイ、ヤマベが釣れました!」
と自慢げに答えた。
「おう、良かったな!」
と、俺の魚を見た釣人は言った。


家に帰って、新冠ダムの状況をあーだーこーだと説明する俺の話を、
母は魚をさばきながら、笑って聞いてくれた。
俺が釣り上げた2匹のヤマベは、ともに30㎝程で、1匹には卵が入っていた。
ヤマベの卵を見たのは、初めてだった。
母はそれを醤油漬けにしてくれた。
ひとしきり話し終えると、俺は疲れてその場で寝てしまった。
母に起こされたときには、もうご飯はできていた。
ヤマベの塩焼きに、ヤマベの筋子だ。
初めてルアーで釣ったヤマベは、最高に美味かった

それは北海道の新冠ダム・・・
新冠ダムは、ノーザンレイクという名前の由来にもなっていて、俺の道場みたいな場所だ。

あれは忘れもしない中学1年生の夏。
親戚のおじさんの車に乗せてもらい、解禁日の前日夜に新冠ダムに乗り込む。
もちろん車中泊。
当時おじさんは、町から依頼されて入漁料(当時は500円)の徴収の
仕事をしていたので、解禁日のダムに行くことができたのだ。
ダムのゲート入口に駐車をし、訪れる釣人から料金を徴収するんだけど、
来るわ、来るわ、それはたくさんの釣人がやって来た。
聞くと、明日の解禁日に札幌の釣りクラブの大会があるらしい。
くわぁー、すげぇーなぁー、新冠ダムすげぇーなぁーと、
俺はもうテンションMAX

興奮してなかなか眠れない。訪れる釣人の顔もみな、
明日の釣りにワクワクしているように見えた。
いよいよ迎えた解禁日当日。
夜が明けるか明けないかのうちに車外に出て、タックルを準備する。
ダム堤体に並んでいる外灯の下には、クワガタがたくさん落ちていた。

初夏(7月1日が解禁だった)とはいえ、北海道・日高地方の山奥の空気は
シーンと静まり、シャキッと冷えていて、とても心地よくて気が引き締まる思いがした。
その時のタックルは、ロッドはダイワ・ニューサンスピンL.6フィート、
リールはダイワ・スピンスター500、ラインはデュポン・ニューストレーン6lb(エルビー) だった。
初めて買ってもらった俺の自慢のタックルで、
みんなに「どうだ、俺のタックルを見てくれ!!」
とばかりに、誇らしげに釣りの準備をしていたんだ。
そしてルアーは、アブ・トビー7g、アブ・リフレックスの7gと4g、
ダイワ・クルセーダー8g

たったこれだけのルアーでも、俺にとっては頼れる実弾。
中学生が、この実弾を揃えるのにどれだけ勇気がいったことか

当時からアブのルアーは、1個500円はした。
釣り針1つに500円を投じるのには、夢と勇気が必要だった

スナップの先に必殺トビーを付けて、いざ出陣


駐車している車から300m程歩いて、釣り場を探す。
しかし・・・

ない!、釣り場がない!
そう、ここ新冠ダムは、人がロッドを伸び伸びと振れる場所がとても少ないのだ。
考えてみれば、当たり前だ。
渓谷をせき止めて作ったダムなのだから、当然、切り立った崖のような場所が多い。

それでも何とかゆるやかそうで、釣座を確保できそうな崖を見つけて降りて行った。
「よしっ、ここなら大丈夫だ!この程度の崖なら帰りも楽勝だな!」
下に着いた時に、そう思った。
さて、いよいよ第一投、トビーはストレーンを引き連れて、孤を描いて飛んでいった。
着水と同時にルアーが水中でギラッと光り、ロッドに振動が伝った。
「あっ、鱒だ!!」
初めての経験だった。着水と同時に鱒がルアーに食いつくなんて。
それからも何回もアタリと追いがあったが、1匹も釣ることができない。
(当時の新冠ダムの魚影はハンパなく濃かった)
釣りたい一心で、本で得た少ない知識を引っ張り出し、ルアーを替え、タナを替えた。
どんな時も反応はあったが、なぜか釣れない。
これは明らかに俺の腕が悪いのだ。
そこで考えた。
「そうだ!こんなにたくさんの魚がルアーを追ってきたのだから、元の場所に魚は戻らず、
すぐ近くに溜まっているかもしれない」
そして
「今までは、7g、8gばかりだったから、小さい仕掛けにしたら一発で食って来るかも?」
と閃いた。
スナップに結んだのは、アブ・リフレックス4gのオレンジに、シルバーブレード。
キャストして、充分に沈めて巻き始める。
そろそろ近くに来たかな?と思った時に
「ガクン!!」と、とてもハッキリした反応があった!
「やった!キタ!!」
ドキドキしながら、逃さぬように慎重に引き寄せ、陸に上げる。
「ヤッタ!!ヤッタ!!」
とても大きなヤマベだ。
体長30㎝、初めて見る大きさのヤマベで、リフレックスのトリプルフックを
ガッチリとくわえていた。
興奮しながら再びキャストをすると、日高の大自然はまたも奇跡を起こしてくれた。
「カン!」「おっ!?」「キター!!」
ゆっくりと慎重に引き寄せて、魚をズリ上げた。
銀ピカの美しいパーマークを見ながら、1人でガッツポーズ


そして他人に聞かれては恥ずかしいので、小さな声で何度も
「ヤッタ、ヤッタ」を連呼していた。
もう頭の中は、学校に行ったら友達に自慢することばかり考えていた。
すっかり一人前の釣師気分の俺は、その後もキャストをしまくったが、魚も馬鹿ではない。
やはりスレてきたのである。
やがて追いもなくなり、経験不足で引き出しの少ない俺は、
アッサリと白旗を上げざるを得なかった。
それにそろそろ、おじさんも徴収した料金を役場に届ける時間だ。
夜までやっていたい気持ちもあったが、帰ることにした。
「よし!ヤマベは持って帰って家で食べよう!」
母親にも自慢したかった。
柳の枝をエラから通してヤマベをかけると、険しい崖も何のその。
足取りも軽く、登って行った。
ヤマベを下げておじさんの車に戻る途中、
「兄ちゃん、どうだった?」
と、大会に参加していた釣人に声をかけられた。
俺は大きな声で
「はい!デッカイ、ヤマベが釣れました!」
と自慢げに答えた。
「おう、良かったな!」
と、俺の魚を見た釣人は言った。


家に帰って、新冠ダムの状況をあーだーこーだと説明する俺の話を、
母は魚をさばきながら、笑って聞いてくれた。
俺が釣り上げた2匹のヤマベは、ともに30㎝程で、1匹には卵が入っていた。
ヤマベの卵を見たのは、初めてだった。
母はそれを醤油漬けにしてくれた。
ひとしきり話し終えると、俺は疲れてその場で寝てしまった。
母に起こされたときには、もうご飯はできていた。
ヤマベの塩焼きに、ヤマベの筋子だ。
初めてルアーで釣ったヤマベは、最高に美味かった


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